サイバーインシデント対応で企業が直面する「外部専門家探し」の現実
サイバーインシデントが発生した場合、多くの企業ではまず社内のIT部門が状況確認を開始します。しかし、ランサムウェア攻撃や情報漏えいなどの重大インシデントでは、フォレンジック調査やインシデントレスポンスの専門知識が必要になることが多く、社内の人員だけで対応することは難しいケースが少なくありません。
そのため、インシデント対応の現場では外部の専門家やインシデント対応ベンダーの支援が必要になることが一般的です。しかし実際のインシデントでは、「すぐに専門家の調査が始まる」とは限らないという現実があります。
サイリーグでは、インシデント対応において重要なのは、専門家の存在だけでなく「迅速に支援を開始できる体制」を平時から整備しておくことだと考えています。
インシデント発生時、企業はまず何をするのか
サイバーインシデントが発覚した場合、企業では短時間のうちに多くの判断を行う必要があります。例えば次のような対応です。
- 何が起きているのかを確認する
- 影響を受けているシステムの把握
- 社内へのエスカレーション
- システム停止の判断
しかし、この段階ではまだ情報が限られているため、企業は不確実な状況の中で意思決定を行う必要があります。
特にランサムウェア攻撃や不正侵入が疑われる場合には、侵入経路や影響範囲を調査するために専門的な調査が必要になるケースが多く、外部専門家の支援が求められることになります。
社内対応だけでは限界がある理由
多くの企業のIT部門は、日常的なシステム運用やセキュリティ対策を担当しています。しかし、重大なサイバーインシデントへの対応には、通常業務とは異なる専門知識と経験が必要になります。
例えば次のような対応が必要になることがあります。
- 侵入経路の特定
- ログの詳細分析
- マルウェアの解析
- 被害範囲の特定
これらは高度な専門分野であり、多くの企業ではインシデント対応の専門家の支援を受けながら対応を進めることになります。
外部専門家に依頼するまでの現実
しかし、外部専門家への依頼がすぐに始まるとは限りません。多くの企業では、インシデント対応の専門家と平時から契約しているわけではなく、インシデント発生後に初めて支援先を探すことになります。
その場合、実際には次のようなプロセスが発生することがあります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ベンダー探し | インシデント対応可能な企業を探す |
| NDA締結 | 秘密保持契約を締結する |
| 見積取得 | 作業範囲と費用を確認 |
| 社内稟議 | 契約の社内承認 |
| 契約締結 | 正式契約の締結 |
| 環境把握 | システム構成の確認 |
このプロセスだけで数時間から数日かかることもあり、その間は本格的な調査を開始できないケースもあります。
初動対応が遅れることで起きること
インシデント対応では、初動対応のスピードがその後の被害や復旧期間に大きく影響します。
対応開始が遅れることで、次のようなリスクが高まる可能性があります。
- 被害範囲の拡大
- システム復旧の長期化
- 事業停止の長期化
- 対応コストの増加
また、経営層や顧客への説明が必要になる場面では、状況が把握できていないこと自体が企業にとって大きなリスクになることもあります。
なぜ初動対応が遅れてしまうのか
このような状況が発生する理由の一つが、インシデント対応の体制が平時から整備されていないことです。
多くの企業では、セキュリティ対策や監視体制は整備されていても、インシデント発生時にどの専門家に依頼するのか、どのような手続きで支援を受けるのかといった点が整理されていないことがあります。
その結果、インシデント発生後に初めてベンダーを探し、契約手続きを進めることになり、初動対応の開始まで時間がかかってしまうことがあります。
事前準備という考え方
こうした課題に対応する方法の一つが、インシデント対応の専門家と事前に連携体制を整備しておくという考え方です。
平時から対応体制を整備しておくことで、インシデント発生時には次のようなメリットがあります。
- 迅速に専門家の支援を受けられる
- 契約手続きに時間がかからない
- 状況に応じた対応方針の相談ができる
結果として、初動対応を迅速に開始することが可能になります。
CyLeagueサイバーレジリエンス・パッケージ
サイリーグでは、こうしたインシデント対応の課題に対応するため、事前契約型のインシデント対応支援サービスCyLeagueサイバーレジリエンス・パッケージを提供しています。
このサービスでは、企業のIT環境やセキュリティ状況を整理した「セキュリティカルテ」を作成し、平時から状況を把握しておくことで、有事の際に迅速な対応を開始できる体制を整備します。
インシデント対応では、企業のIT環境を理解しているかどうかが初動対応のスピードに大きく影響します。平時から企業の環境を把握しておくことで、より迅速で適切な支援が可能になります。
サイバー攻撃を完全に防ぐことが難しい時代においては、「攻撃を受けた後にどれだけ迅速に対応できるか」が企業のサイバーレジリエンスを左右します。
まとめ
サイバーインシデント対応では、技術的な調査だけでなく、外部専門家との連携や社内意思決定など多くのプロセスが発生します。
事前準備がない場合、ベンダー探しや契約手続きに時間がかかり、初動対応が遅れることもあります。
こうした課題を防ぐためには、インシデント発生時の対応体制を平時から整備しておくことが重要です。
サイリーグは、こうした観点から企業のサイバーレジリエンス強化を支援しています。
サイバーレジリエンスの考え方については、「サイバーレジリエンスとは何か」でも詳しく解説しています。